毎週末更新!
今週のオススメの一冊:パパラギ
「パパラギ」(パランギともいうらしい)とは、南太平洋諸島の人々がヨーロピアン(=白人、文明人)を指していう言葉。
この本では、西サモアのウポル島に住むツイアビ酋長が放った文明に対する警告や仲間への啓蒙、そして自然への賛歌が綴られています。
テーマ的にはけっこう重いものですが、語り口調のままの文体だし、細かい章立てになっているので読みやすい。「文明」や「自然」について語られている話を、そのまま自分の生き方に当てはめてみると、グッときたり、ハッとさせられることがたくさんちりばめられています。章のタイトルも気が利いている。たとえば、「たくさんの物がパパラギを貧しくしている」「考えるという重い病気」など、タイトルを追いかけるだけでも楽しめます。
←こっちが表紙

こっち裏表紙

ツイアビ酋長の言葉はどれも優しい教訓になっていて、たとえば「日の出から日の入りまで一人の人間には使い切れない」という言葉にはプレッシャーから少しだけ解放され、「パパラギは葉も実も落とすまいと生きるヤシの木のように生きている。熟すれば自然に葉を落とし実を落とし、新しい実を結ぶ本当のヤシの木の方がパパラギよりもずっとかしこい」という言葉には少しだけ飛ぶ勇気をもらったような気がします。
心がちょっと疲れたときにオススメの一冊です。
「パパラギ」:岡崎照男訳 立風書房刊 第1刷発行1981年4月30日

TOP NEXT